健康美容

2024.03.01

低体温が引き起こす「免疫力低下」と「がん」

体温の重要性は広く知られていますが、その中でも低体温が免疫力の低下やがんの発症に及ぼす影響についてはあまり知られていません。
この記事では、健康的な体温の保ち方、そして免疫力と体温の関係性に焦点を当て、さらにがんに対する免疫についてもまとめました。
参考にしていただけると幸いです。

体温からのSOSサインを知っておこう

健康な体温には個人差がありますが、一般的には36.6℃~37.2℃程度とされています。
また、日本人の平均体温は36.8℃であり、約7割の人がこの範囲に収まるといわれています。

発熱

感染症法によれば、発熱の定義は37.5℃以上とされています。この体温が自分の平熱よりも高い場合は、発熱の可能性があると考えられます。

低体温

反対に、平熱が36℃以下と低い場合は低体温とされ、これは血流の悪化や自律神経失調症、アレルギー、便秘、肥満などの不調や病気に繋がる可能性があります。

免疫とは

「1度かかった感染症には2度目は感染しない(軽症で済む)」といわれていますが、これが「免疫」と呼ばれる能力です。

POINT!

感染症は初めて病原体に感染した際に最も重症化しやすいので、将来の感染から身を守るためには、身体がその病原体にあらかじめ対応できる免疫を持っているかどうかが重要です。

免疫の主要タイプとその機能

免疫には、主に「自然免疫」「獲得免疫」の2つがあります。
自然免疫は、生まれつき備わっている免疫です。
一方で、獲得免疫は異物に対する体の反応を一度経験した後、再度その異物に対して反応する後天的な免疫を指します。

自然免疫

自然免疫は、生まれつき備わっている免疫であり、体内に異物が侵入すると素早く反応して作動します。
この自然免疫は、外部から体内に侵入した細菌やウイルス、寄生虫などの病原体を検出して攻撃する仕組みを指します。
自然免疫に関連する細胞には、主に好中球、マクロファージ、NK細胞、樹状細胞などがあります。

好中球

体内にウイルスなどが入ると、最初に異物を排除します。
好中球は、細菌やウイルスを検知するためのレセプターを備えており、攻撃対象を選別する特性があります。また、組織内を移動できるため、異物に迅速に反応できます。

マクロファージ

好中球と同様に敵を食べて分解します。
その食いしん坊な性格から、戦闘中の好中球まで食べてしまう特徴があります。

NK細胞

敵が他の免疫細胞から逃れ、体内の細胞に感染している場合に立ちはだかります。
強力な力を持つ一方で、感染した細胞ごと敵を排除してしまう特性があります。

樹状細胞

敵を攻撃しながら、その情報を詳細に分析します。
言い換えれば、樹状細胞は情報を集める役割を果たしているということです。

獲得免疫

獲得免疫とは、過去に体内に侵入したことのある細菌やウイルスに対して、T細胞が抗体を生成し、それを排除する機能です。
自然免疫が敵を攻撃し、生き残った敵に対して獲得免疫が一早く対応するのです。
T細胞には、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、制御性T細胞が存在し、それぞれ協力して細菌やウイルスを駆逐します。

キラーT細胞

ウイルス感染細胞やがん細胞を見つけ、攻撃し破壊します。

ヘルパーT細胞

樹状細胞から外敵侵入の情報を受け取り、戦略を策定する司令塔のような役割を果たし、外敵の侵入をキラーT細胞に伝達します。

制御性T細胞

免疫の働きを制御することで、免疫が過剰に活性化するのを防ぎます。

POINT!

予防接種(ワクチン)は、獲得免疫の仕組みを活用したものです。
低毒性の抗原を免疫細胞に記憶させることで、実際に同じウイルスなどが体内に侵入した際に即反応し、効率的にウイルスを排除できるようにします。

免疫力の低下に繋がる低体温

私たちの身体は、免疫によって病気から守られています。
免疫機能には、異物である病原体や抗原を取り除くために活動する多くの免疫細胞が関与しています。
これらの免疫細胞は、体温が上昇するとより活発になる性質があります。

低体温が免疫力を低下させる理由

血液は約60兆個もの細胞に栄養や酸素を供給し、同時に老廃物を排出する重要な機能を果たしています。
その中には免疫機能を有する白血球が含まれており、これらの白血球が体内を巡回することで異物を監視しています。

したがって、体温が低下すると血流が悪化し、異物に対する素早い対応が難しくなり、ウイルスや細菌による感染症のリスクが高まります。
これが、免疫力の低下と呼ばれるものです。

白血球は外部から侵入するウイルスや細菌だけでなく、がん細胞も攻撃し、排除する役割を果たしています。
このことから、自分の平熱を理解し低体温や血流をよくすることは、免疫力の向上につながるといえるのです。

免疫細胞が正常に働ける体温は36.5℃

免疫細胞が正常に機能する体温は36.5℃で、体温が1℃上昇すると、免疫力が最大で5倍~6倍も向上するといわれています。
反対に1℃下がると、免疫力が30%低下するとされています。
発熱は必ずしも悪いものではなく、体が病気と戦うために免疫細胞を活性化させる際に起こるものです。

POINT!

高熱で体調が悪化している場合は例外として、発熱時には薬を使わずに自然に任せることが望ましいこともあります。健康な体温を維持することは、免疫力を高め、病気に対抗する体の基盤を作る上で欠かせない要素の一つです。

体温が下がる(低体温)の主な原因

加齢や食事の不摂生、運動不足などは、筋肉量を減少させる原因となります。
筋肉の減少に伴い基礎代謝が減少し、十分な熱を生成できなくなると、それが低体温を引き起こす可能性になり得るのです。
また、ストレスが原因で自律神経がうまく働かなくなったり、長い時間寒い場所にいたりすることも、体温が低くなる理由の一つです。

低体温と冷え症の違いについて

低体温は、深部体温(脳や内臓などの身体内部の温度)が低くなる状態を指します。
体温が35.5~36.0℃以下の場合、低体温の可能性があるといわれていますが、冷え症の場合は、深部体温が低下しているわけではありません。
これは、手や足など特定の部分だけが冷たく感じることを指し、全身の体温が下がる低体温とは異なります。

低体温がもたらす健康リスク

低体温は身体に以下のような健康リスクをもたらします。

  • 免疫力の低下
  • 血行不良・血圧上昇
  • 消化不良・食欲不振
  • 代謝の低下
  • 体力の低下(疲れやすさ)
  • 意欲・集中力の低下

免疫力低下による影響

体温が36度未満の軽度の低体温の場合でも、免疫力が下がって、感染症、脳の血管の問題、糖尿病など、体にいろいろな問題が起こりやすくなるとされています。
疲れやすい、風邪を引きやすい、風邪がなかなか治らないというさまざまな症状もこの中に含まれます。さらに、肺炎やインフルエンザにかかるリスクも高くなります。

がん細胞が活性化する「体温35℃」と免疫力の関係性

健康な人であっても、1日に約5,000個ものがん細胞が発生しているといわれています。
しかし、これらのがん細胞の多くは、体内の免疫によって退治されています。
そのため、体温が低下すると、免疫力も低下し、通常なら退治できているがん細胞を退治できなくなくなってしまう可能性が高くなります。

がんの予防で知っておきたい「体温35℃」の影響

35℃台の体温では、アレルギーやがん細胞が活性化しやすいといわれています。
また、人間の内臓機能に必要な酵素は、体温が36.5度以下だとしっかり機能しないことがあります。

大腸癌や胃癌などは臓器が冷えやすいという理由から、これらのがんは死亡数が多い傾向があります。
体温低下や便通異常などの冷えによる症状は、がんの発症と関連している可能性が高いといえるでしょう。

反対に、体温が上昇すると、細胞の修復を担当する特殊なたんぱく質(HSP)が、身体の中で増加する傾向にあります。
このたんぱく質は、白血球の一種(T細胞)と協力し、がん細胞を退治する力を増大させます。

POINT!

がん細胞が温熱に弱いという特性は、がんの治療方法としても研究が進んでいます。
患部を温めてがんを破壊する温熱療法などが、その代表です。

体温を上げて作り出す強い免疫力

これまでの内容から、体温を上げることが免疫力の向上に大きく関わっていることがお分かりいただけたと思います。

しかし、近年では平熱が36℃以下の低体温の人が増加傾向にあるようです。
そこで、ここからは、体温を上げて免疫力を向上させる、おすすめ方法を紹介します。
ぜひ参考にしてください。

現代人の低体温は筋肉量の低下が主な原因

日本人の平均体温は、50年前から0.7度近く下がっています。これは現代の生活が運動不足であることが原因とされています。
以前は手作業での家事や畑仕事が主流でしたが、今では乗り物や家電の普及により運動量が減っているからです。

運動不足により筋肉量が減少することが、体温や基礎代謝の低下につながります。
基礎代謝の低下は内臓脂肪の増加を招き、これが悪玉ホルモンの分泌を促進し、血管炎や血栓形成、糖尿病、高血圧などの疾患の原因となります。

また、加齢に伴い基礎代謝も低下するため、年齢を重ねるほどに筋肉量の増加は重要になってきます。
その他にもエアコン生活やストレスによるホルモンの影響も低体温の原因の一つに挙げられます。
低体温を改善するためには、運動習慣の確立やストレス管理が重要だといえるでしょう。

体温を上げるためのおすすめ方法とは

継続できる運動で筋肉量を増やす

身体の筋肉の大部分が下半身にあるとされています。
このため、下半身を鍛える運動、例えばウォーキング、ジョギング、スクワットなどが効果的です。
これらの運動は短時間で効果があり、毎日続けることで基礎代謝が向上し、免疫力が強化されるでしょう。

POINT!

運動は、毎日続けられるレベルのものにすることが大切です。
運動する習慣がない方は、まずは30分歩くことから始めてみましょう。
通勤時に1駅歩いたり、夜の散歩を続けたりする方法があります。
30分歩くのが難しい場合は、15分を2回や10分を3回に分けても良いです。
毎日続ければ3ヶ月後には成果が現れます。
歩く習慣がついたらウォーキングや軽いジョギングなどを始めましょう。
毎日30分の有酸素運動は体温を上昇させて、体調が良くなり、内臓脂肪を減少させる効果があります。

40℃前後での入浴を毎日10分間

体温を上げるためには、ゆっくりとお湯に浸かることも効果的です。理想的な入浴は、40℃前後のお湯で毎日10分間といわれています。
ただし、42℃以上の熱いお湯や長時間の入浴は避けた方がいいでしょう。これらは血圧上昇や体力の低下、肌の乾燥を引き起こす可能性があるからです。
全身浴は体温を上げるのに効果的で、浮力によるリラックスでストレスが緩和され、免疫力が高まります。

ストレスのケア

免疫の正常な働きには、自律神経がバランス良く機能していることが不可欠です。
交感神経と副交感神経の均衡が乱れ、余分なストレスが免疫力を低下させる可能性があります。
ストレスから身を守るホルモンは筋肉を分解する傾向があり、これが筋肉量や基礎代謝の減少、低体温を招きます。
適切な体温を維持するためにはストレスの管理が不可欠で、運動や入浴と同様に、笑いも効果的です。日々笑うことで免疫細胞が活性化し、免疫力が高まります。

白湯を飲む

40℃以上(50℃前後が最適)の白湯を飲むと、飲むと胃が温まり、基礎代謝が刺激されて体温が上昇します。
生姜を加えるのもおすすめです。生姜の「ジンロゲン」と呼ばれる辛味成分が血行を促進し、基礎代謝を高めてくれます。また、朝の寝起きに白湯を飲むと、体温が上がって血の流れがよくなり、寝ていた胃や腸が起きて活動し始めます。
そうすることで、朝食の栄養をうまく消化して吸収することができます。

身体を外から温める

カイロや厚着、靴下やタイツなどを利用して、物理的に体を温めるのを心がけましょう。
腹部にカイロを貼ると内臓が温まり、基礎代謝が向上します。
特に下半身を温めることで、足の筋肉が血液を心臓に送り返す働きを助け、全体の血流が改善し、免疫力が高まります。

身体を温める食材を食べる

食材には、体を冷やす食材と温める食材があるので注意しましょう。夏野菜として知られるきゅうりやなす、トマトが体を冷やす食材です。
反対に、生姜、にんにく、ねぎ、羊肉、鶏肉、もち米、黒糖などは体を温める食材です。
また、腸には免疫細胞の約7割が存在しているため、腸内環境の整備は重要です。
発酵食品やキノコ、海藻のような食物繊維を摂取することで、腸内環境を向上させることができます。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事では、低体温が引き起こす「免疫力の低下」と「がん」に焦点を当て、体温を上げることの重要性についてまとめました。

体温が免疫力に及ぼす影響については、白血球と血流の関連性、免疫細胞が正常に働く体温、その体温の変化ががんの発症に及ぼす影響などがポイントになります。
体温を上げることが免疫力の向上に大きく関係することが、おわかりいただけたかと思います。

この記事を通じて、健康的な体温を維持し、免疫力を高めるための具体的な行動や実践に繋がれば幸いです。

※この記事は、健康に関する一般的な情報を提供するものであり、医師等の医療従事者の行う医学的なアドバイスやそれに代替する情報を提供するものではありません。この記事を参考にされる際は、ご自身の健康状態に留意のうえ個人の責任において行ってください。また、健康上の懸念がある場合には、医師にご相談ください。

【参考資料】
●自然免疫応用技研株式会社|やさしいLPS
●福岡天神内視鏡クリニック|内視鏡医師の知識シリーズ
●ダイドードリンコ株式会社|「冷え性」よりも危険な「低体温」
●湧永製薬株式会社|低体温症は食欲不振や疲れやすさの原因にも
●シチズン・システムズ株式会社|健康コラム
●銀座血液検査ラボ|低体温だとがんになりやすい?
●市川すずき消化器・内視鏡クリニック|冷え性は改善されるの?
●株式会社コロナ|健康は、太陽と水と空気がつくる。
●沢井製薬株式会社|体温を上げて 免疫力アップ

LINE UP

製品ラインナップ

選べるラインナップ

Dr.Supporterでは皆さまのライフスタイルに合わせてご使用いただける
ラインナップをご用意しています。

製品ラインナップを見る