健康美容

2023.12.24

温泉の健康効果を科学的に解き明かす

温泉は古くから多くの人々に親しまれ、その背景にはさまざまな魅力があります。
しかし、健康への影響や温泉成分を理解して入る温泉を選ぶ方は、それほど多くないかもしれません。
この記事では、温泉の魅力を科学的な視点から分析し、温泉のもつさまざまな効能をまとめています。温泉が私たちの身体にどのような影響を与えるのか、どのような症状に効果があるのかを理解し、その知識を活用して温泉を利用しましょう。

温泉の成分とその魅力

温泉は、その成分や泉質によってさまざまな健康効果をもたらす自然療法の一つです。温泉に含まれる主要な成分が、私たちの身体に与える影響について解説します。

硫黄

温泉の香りと癒しの力

硫黄は温泉特有のあの心地よい香りの源ですが、それだけではありません。硫黄には抗酸化作用で身体を守り、消毒作用で清潔を保つなどの健康効果があります。また、アトピーなどの皮膚トラブルに効果的であることが報告されています。

効果

硫黄は、その香りと健康効果で、温泉の魅力を一層引き立てています。

ナトリウム

血行を良くしてリラックス

温泉に含まれるナトリウムは、血の巡りを良くして、筋肉や関節など身体中の緊張をほぐしてくれます。疲れた筋肉やガチガチの関節も、ナトリウムのはたらきで和らぎます。また、ストレス軽減効果もあり、心と身体のリラックスに効果的です。

効果

温泉に含まれるナトリウムが気持ちをゆったりさせ、心と身体の両面から良い影響をもたらします。

塩化物

抗菌作用と関節痛の緩和

温泉に含まれる塩化物成分は抗菌作用があり、皮膚トラブルの改善が期待できます。また、リウマチや関節痛に対しても効果があるので、これらの症状を和らげる強い味方になってくれます。

効果

これらの成分は、温泉の効果を引き出すために非常に重要な役割を果たしています。
それぞれの成分がもつ特性を理解することで、温泉による健康効果への理解が深まり、より充実した温泉浴ができるはずです。

素晴らしい温泉成分の相乗効果

温泉には、硫黄・ナトリウム・塩化物といったさまざまな成分が含まれていて、これらが一緒になることで素晴らしい相乗効果が生まれます。
これには単一の成分だけでは得られない、複数の成分が組み合わさることで生まれる独特な効果も含まれます。

硫黄×ナトリウム

抗炎症作用と血行促進効果が組み合わさり、慢性的な痛みや関節のこわばりへの効果があるとされています。これにより、リウマチ、筋肉のこりによる不快感や疲労感の緩和が期待できます。

硫黄×塩化物

抗炎症作用と抗菌作用が組み合わさり、皮膚トラブルや湿疹などの改善が期待できます。しっとりすべすべで健やかな肌を目指せるはずです。

ナトリウム×塩化物

血行促進効果と抗菌作用が組み合わさり、皮膚の健康維持や関節痛の軽減をサポートしてくれます。

これらの異なる成分同士による相乗効果を理解して活用することで、今まで以上に充実した温泉療法ができるはずです。

注意!

温泉療法を行う際に自分の体調やアレルギーに心配がある場合は、事前に医師へ相談してください。

温泉の泉質10選から自分の身体にぴったりの湯を見つけよう

温泉がもつ癒しの力は古くから知られていますが、その効能は泉質によって異なります。ここからは、温泉の主要な泉質10選のそれぞれの効能に焦点を当てて紹介します。

単純温泉

主な効能:心と身体のリラックス

単純温泉は、日本の多くの温泉地に存在するごく一般的な泉質です。成分が単純というわけではなく、効能成分が薄いという特徴があります。

効能成分が薄いことは必ずしも悪いことではなく、刺激が少ない「身体に優しい湯」といえます。高齢者や敏感肌の方にも安心です。また、ストレスや不眠、うつ状態にも効果が期待できます。

塩化物泉

主な効能:保温・保湿と手や足先の冷えを改善

「温まりの湯」とも呼ばれる塩化物泉は、その名のとおり塩分を含んでいます。塩分が毛穴を塞ぐことで、高い保温・保湿効果があります。血行不良、冷え性、うつ状態、きりきず、特に肌の乾燥に効果的です。
飲用では、胃腸の調子を整える効果が期待できます。

炭酸水素塩泉

主な効能:美肌と代謝アップ

炭酸水素塩泉は肌をなめらかにして、肌の汚れや不純物を石けんのように洗い流すことができます。「美肌の湯」とも呼ばれ、冷え性や乾燥などの皮膚トラブルに対する効果が期待されます。
飲用では、糖尿病や痛風にも効果が期待できます。

硫酸塩泉

主な効能:高血圧の改善と肌トラブル

硫酸塩泉は、鎮静作用や血圧の低下作用があるため、「脳卒中の湯」としても知られています。同時に、きずや火傷にも効果的で、「きずの湯」とも呼ばれています。
さらに、肌の脂分を取り除くはたらきがあり、ニキビなどの肌トラブルに対しても有効です。
飲用では、胆道疾患の改善や糖尿病、肥満症、便秘にも効果が期待できます。

二酸化炭素泉

主な効能:血行促進と代謝向上

二酸化炭素泉は、非常に珍しく貴重な温泉です。この温泉につかると体表に炭酸ガスが気泡として付着します。炭酸ガスは皮膚から吸収され、血管を広げて血液の循環を活性化させます。これにより心臓の負担を軽減させるので「心臓の湯」とも呼ばれています。
飲用でも、消化器のはたらきをサポートし、便秘にも効果が期待できます。

含鉄泉

主な効能:保湿と月経障害・更年期障害

含鉄泉は、源泉は無色透明なのですが、空気に触れて酸化することによって色が茶褐色に変化します。そのため、「赤湯」と呼ばれています。保温効果が高いことで知られていて、身体の芯から温まります。また、月経障害や更年期障害などにも良いとされています。
飲用では、貧血への効果が期待できます。

酸性泉

主な効能:慢性皮膚病

酸性泉は高い酸性度をもつ特殊な温泉です。殺菌効果が強く、皮膚病に対する効果が期待でき、「皮膚病の湯」として知られています。特に、白癬症、疥癬、乾癬などの寄生系の皮膚病に対して有効であり、身近な例では水虫などにも効力を発揮します。

含ヨウ素泉

主な効能:殺菌作用

ヨウ素泉は2014年に新たに追加された泉質であり、その名前どおり「ヨウ素」の効果が期待されます。ヨウ素は殺菌薬や消毒薬などにも利用され、そのため「殺菌の湯」と呼べるでしょう。
ただし、まだ新しい泉質であるためか、入浴時の効能や適応症は認められていません。飲用においては高コレステロール血症に対する有効性が示唆されています。

硫黄泉

主な効能:皮膚疾患と生活習慣病

硫黄泉は、温泉らしい硫黄の香りが特徴的で、その高い殺菌効果から皮膚病に対して有効です。
さらに、「糖尿病」「高血圧」「動脈硬化」といった生活習慣病に効能があり、「生活習慣病の湯」としても知られています。飲用では、糖尿病、痛風、便秘への効果が期待できます。

放射能泉

主な効能:痛風・慢性胆のう炎や胆石症

放射能泉は、その名のとおりに放射能を含む温泉です。放射能と聞くと不安な気持ちになりますが、温泉に含まれている微量の放射能は体に良い影響を与えることがあります。

この泉質は、飲用ではなく入浴によって痛風に効能がある唯一の泉質であり、「通風の湯」とも呼ばれています。
他にも、入浴によって慢性胆のう炎や胆石症に効能があるとされているのも、放射能泉だけです。飲用では、痛風、慢性消化器病、慢性胆のう炎、胆石症などへの効果が期待できます。

温泉にはいろいろな種類があり、それぞれ身体に良い効果が期待できます。
人によって効き目は違うので、自分の体調や求める効果に合った温泉を選ぶことが大切です。
温泉の成分を理解し、心と身体の健康を促進する有意義な時間を過ごしましょう。

血圧、コレステロール、生活習慣病への効果に注目

血圧に優しい温泉の力

温泉につかると身体が温まり血管が広がることで血液の流れがスムーズになります。結果として、心臓への負担も軽減されます。

高血圧の方にとっては血圧を下げる効果が期待できるので、温泉療法を高血圧の予防や管理に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

コレステロールへの影響

温泉に入ることで、さまざまな成分が肌から吸収されます。その効果で、入浴中も入浴後も、身体に良い影響がもたらされます。

特に硫黄成分には肌を柔らかくして、毛穴を開くはたらきがあります。このはたらきが、余分な脂肪や老廃物の排出を助けることで、コレステロール値を改善する可能性があるとされています。

さらに、温泉でリラックスすることでストレスホルモンが減り、これもコレステロール値を改善するのに役立ちます。ストレスホルモンの過剰な分泌はコレステロール値の上昇に関連しているため、温泉のリラックス効果は有効です。

生活習慣病のリスク軽減

温泉と生活習慣病に関する研究

温泉と生活習慣病に関する研究において、頻繁に温泉に入ることが生活習慣病の予防となる可能性が注目されています。

糖尿病、高血圧、高脂血症などのリスクを減らす効果が、複数の研究で確認されています。

これは、温泉の成分が身体に良い影響を与え、生活習慣病の発症を防ぐ可能性があることを示唆しています。

入浴習慣によって健康状態を継続する

温泉に入る習慣が生活習慣病のリスクを減らす理由は、主に3つあります。

  • ①血液の流れを良くする
  • ②炎症を起こりにくくする
  • ③ストレスホルモンを減らす

温泉の成分が血行を良くして血液の流れをスムーズにし、炎症が起きにくくなることが、生活習慣病の予防につながります。
また、リラックスしてストレスホルモンが減ることも、生活習慣病のリスクを減らす一因です。ストレスを減らし、心と身体のバランスを保つことで、生活習慣病を予防しましょう。

POINT!

継続的に温泉に入ることも、予防医療の一環として位置づけることができます。
これらを生活習慣に取り入れて健康を維持することが推奨されていますが、自分の健康状態やリスクに合わせて、医師のアドバイスを受けながら行うのがおすすめです。

ストレスを減らす癒しの空間

現代社会において広く見られるストレスは、私たちの心と身体にじわじわと悪影響を与え、さまざまな健康問題の原因になることがあります。
慢性的なストレスは、生活習慣病や心の不調を引き起こすこともありますが、温泉に入ることでストレスを軽減することができます。

ストレスのメカニズム

ストレスを感じると身体は緊張状態になります。心拍数や血圧が上がり、ストレスホルモンが分泌されます。これが続くと、免疫力が落ちたり、慢性的な炎症が起こったりすることがあります。

温泉入浴とストレス軽減

温泉にはストレスを減らす効果があることが研究によってわかっています。
温泉に含まれる鉱物成分が皮膚から吸収され、神経系にはたらきかけてリラックス効果をもたらします。

特に、温泉の特徴でもある硫黄成分は、神経伝達物質のバランスを整えて落ち着かせる効果をもたらします。さらに、温泉の浮力による体の軽さや、水圧によるマッサージ効果が心身をリフレッシュさせます。

ストレスを軽減する効果的な入浴法

ストレスを減らすためには、入浴の仕方も大切です。ゆっくりと時間をかけて入浴したり、アロマテラピーを取り入れたりするのも良いでしょう。

例えば、ラベンダーの香りはリラックス効果を高めますし、ローズやゼラニウムは心を落ち着かせる効果があります。また、静かで落ち着いた入浴環境を整えることも重要です。

温泉による予防医療への展望

温泉利用と生活習慣病の未来

これまでの研究によって、温泉が生活習慣病の予防に役立つ可能性があることがわかってきました。
定期的に温泉に入ることで、慢性的な炎症やストレスが減り、これが生活習慣病のリスクを下げる大きな要因になります。
特に、温泉特有の鉱物成分が身体に良い影響を与え、病気の予防につながると考えられています。

予防医療への貢献

将来的に、温泉が予防医療に果たす役割はますます重要視されていくことでしょう。
科学的に裏付けられた温泉の効果が認められ、健康促進や疾病予防の一環として積極的に導入される可能性があります。これにより、医療機関や企業の福利厚生で温泉療法を健康プログラムに取り入れることが期待されます。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
温泉は単なるレジャーではなく、あなたの心と体に良い影響を与えてくれるものです。その仕組みは科学的に解明されています。

温泉の中でも特に硫黄、ナトリウム、塩化物という成分に注目して、それぞれがどんな効果を私たちの健康にもたらしてくれるのかを紹介しました。

さらに、温泉にゆっくりつかることで、血圧やコレステロールにも良い影響を与え、生活習慣病のリスクを減らす効果が期待できます。リラックスした入浴タイムを通じて、疲れとストレスの解消に努めましょう。

温泉の力を借りて、これからも健康でキレイな毎日を送りたいですね。
この記事を通じて、温泉での時間をより健康的かつ美しく過ごすためのヒントを得ていただければ幸いです。

※この記事は、健康に関する一般的な情報を提供するものであり、医師等の医療従事者の行う医学的なアドバイスやそれに代替する情報を提供するものではありません。この記事を参考にされる際は、ご自身の健康状態に留意のうえ個人の責任において行ってください。また、健康上の懸念がある場合には、医師にご相談ください。

【参考資料】
●温泉ソムリエ協会「「温泉ソムリエが教える!幸せになる入浴法」
●日本温泉協会「温泉名人|温泉の医学的効果とその科学的根拠とは!?」
●じゃらんnet「あの泉質は何に効くの?温泉の効果・効能を知って、大満足の温泉旅に出かけよう」
●ソニー生命「知っておきたい効能と泉質 温泉で健康になる!」
●温泉医科学研究所「だから温泉はカラダにいい」
●独立行政法人経済産業研究所「入浴、温泉浴によるストレス軽減・予防医療の推進で日本を元気に」
●ゆこたび「なぜ温泉に入ると美肌になるの?温泉ソムリエが徹底解説!」
●株式会社B-plus「癒し効果だけじゃない!”温泉”の美容と健康効果」


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